« 十一月七日「義経院宣賜ると聞き、頼朝不快とす」 | トップページ | 十一月八日「頼朝上洛を中止し使を派す」 »

2009年7月29日 (水)

11月7日「義経等誅伐せられば天下の大慶なり」

[玉葉]11月7日 丙戌 天晴れ
「義経等誅伐せられば天下の大慶なり」
 夜に入り、人曰く、九郎義経・十郎行家等、豊後の国の武士の為誅伐せられたりという。或いは云く、逆風の為海に入るという。両説詳かならずと雖も、船出は安穏ならざるか。事もし実ならば、仁義の感報すでに空し。遺恨に似たると雖も、天下のため大慶なり。かれらもし九州に籠もらば、追討の武士等のため、順路の国いよいよ滅亡すべし。関東諸国またこの乱によりその路を通ずべからず。よって京都の身分高い人も低い人も、生活の計の術が無かるべし。しかるに前途を受けず滅亡す。あに国家の至要にあらずや。
「義経の武勇と仁議後代の佳名に貽る」
 義経は大功を成し、その詮無しといえども、武勇と仁義とにおいては、後代の美名をのこす者か。嘆美すべし嘆美すべし。
「頼朝への謀反の心は大逆罪」
 ただし頼朝において謀反の心起こさば、すでにこれ大逆罪なり。これにより天この災を与えるか。およそ五濁の悪世、戦うこと堅固の世、かくの如き乱逆踵を継ぎて絶えざるか。悲しむべし悲しむべし。伝え聞く豊後の武士等が義経等を伐つ事は誤りの説という。

|

« 十一月七日「義経院宣賜ると聞き、頼朝不快とす」 | トップページ | 十一月八日「頼朝上洛を中止し使を派す」 »