11月18日「義経捜索の事につき院殿上にて議定あり」
[玉葉]11月18日 辛酉 天晴
「義経捜索の事につき院殿上にて議定あり」
この日法皇御所殿上において会議がありました。(略)左少弁定長が帰り来たり仰せていわく、
義行(義経)を逮捕すべき事について、細々と相計り、人々に問うべしと言いました。
(略)親経を呼び出し命令して言う、人々議定の趣、詳細に以て申し上げるべし。この上は私の案の旨、同じく申し上げるべし。
義行(義経)逮捕すべきの間の事
諸社諸寺・京都市中・京都近国に宣旨を下さるべき事、同じく載せらるべきの趣等、人々定め申す如く、殊に以て命令下さるべし。兼ねてまた猶逮捕した所の縁者等に尋問して、もし称し申す旨有らば、その白状により、在所と云い境界と云い、捜索の指図されるべきか。兼ねてまたこの事、もし怠慢を致し遂に成功する事がないならば、忽ちに武士を派遣すべきの由、各々よくよく命令すべし。人々の驚き恐れは、この深きに過ぐべからざるか。
「義経捜求のため五壇法行わるべし」
御祈りの事
先ず尤も五壇法(密教の修法)を行わるべきである。これに就いて二議有るべし。一は諸宗の法を知る方々を呼び、天皇御所または法皇御所の塗連壇に於いて行わるるべきか。まさに又は比叡山延暦寺の如きの修行の地に於いて、一向にその所に命じ、丁寧に始め修せらるべきか。(後略)
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