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2008年3月15日 (土)

4月21日「前の内府の事如何」

[玉葉]4月21日 
  泰経卿を以て内密に尋ね問われた事等
「建禮門院の御事如何」
 一、建禮門院の御事はどのように。その御所は京中か、城外か。はたまたご存じなく、ただ武士の家たるべきか。
 申して云く、武士に処置させる事、一切あるべきでない。古来、罪人の女房の罪科は聞かざる事である。然るべき片山里の辺に御住まわせるべきだろう。
「前の内府の事如何」
 一、前の内大臣平宗盛の事はどのように。義経は申して云く、引き連れて入京すべきか。はたまた河陽の辺に留置すべきか。死生の間の事、頼朝に仰せ合わさるべきか。ひそかに申し遣わしました。飛脚未だ到着せず。進退惟(おもい)谷(きわ)む。この上はどのように思慮し申すべし。
 申して云く、この事更に思いわずらうべきではない。追討の由を命令され、さらし首にすべきの由疑い無しと雖も、捕虜として参上した。その上死を賜うべきの由命令され難し。我が朝庭では死罪を行わざるが故である。保元の乱の時この例有り。時の人は感心しなかった。仍って今度はとやかく言うまでもなく遠流に処せられるべきである。而るにその国用意有るべし。南北西の三方に於いては不適切である。東海・東山等の遠国に遣わさるべきである。沙汰の趣は難無し。而るに頼朝の真意に合致するか。御使を遣わされ、徒に数日を経るの條、太だ以て見苦しきものである。また事は内密の故有るに似たるなり。泰経は太だ以て感心した。
「頼朝の賞の事」
 一、頼朝の賞の事、申請に依るの由命令されるべし。将に暗に行わるるべきか。その賞はどのように。
 申して云く、道理では当然暗に命令されるべきである。而るに彼の意趣知り難きか。仍って申請に依るの由命令され如何。但しその賞は正四位の上、都の長官若しくは衛府の長官等の間か。この賞等なら定めて不快の思い無きか。仍って行われるの條宜しきか。但し法皇のお考え在るべしといえり。泰経は事の由を申し上げた。頼朝の賞の事、猶暗に命令される事、猶予有って命令合わさるべしと。他事等御感心有りと。

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