« 8月20日 「吾妻鏡」「阿波麻殖保地頭の押妨を停む」 | トップページ | 12月6日 「吾妻鏡」「東大寺僧と武家の使闘乱す」 »

2007年3月20日 (火)

9月3日 「吾妻鏡」「頼朝、地頭重頼の不法を停む」

9月3日 「吾妻鏡」丙申
「頼朝、地頭重頼の不法を停む」
 宮内大輔の重頼が不法の事、法皇の命令を下されるに就いて、早く停止されるべきの由、重頼に命令を遣わされた。
 また勅願寺領の年貢の済否の事、面々に尋ねられると雖も、地頭の答申書等未だ整わざるの間遅延するの由、同じく申された所である。
    若狭の国司申す、松永・宮川保の地頭宮内大輔重頼国命に随わざる事、非法を停
    止せしむべきの由、下文を成し進上せしめ候。
 右件の事、いかにも御定に有るべきであります。荘園領主は尋常にて地頭の不当が極まり無きの所多くございます。また地頭は尋常にて、年貢のなまけを致さ無い所々もございます。而るに荘園領主の中にも、地頭を憎みて勝つに乗りて訴え申す事もございますの由、承り及ぶところであります。然れば記録所へも召されまして、真偽を決定して御裁許いただければ、不当の地頭は恐れを成して、忠節心を励ますでしょう。また尋常の地頭は、いよいよ公平を存ぜしめますでしょう。尤も勤否を召し問わるべきでございます。但しそのために召されなさる者ども、若くは参上せしめず候か。連名を記録しなされば、召し進上せしむべきであります。この旨を以て申し上げなさるが良いでしょう。
   頼朝恐々謹言。
     九月三日           頼朝(裏判在り)
   追って言上す
 去る六月四日に到来しました御命令書の中、命令下されました金剛心院並びに蓮花王院領等の御年貢の済否の事、相尋ねました処、地頭等は在所の国々相隔てますの故、今に調わないのであります。仍って遅延しました。尤も恐れ思いであります。重ねてこの旨を以て申し上げなさるが良いでしょう。恐々謹言。
「若狭松永・宮川保の地頭押妨停止の下文」
   下す 若狭の国松永並びに宮川保の住人
    早く先例に任せ国衙の課役に勤仕せしむべき事
 右件の所々、地頭宮内大輔重頼、事を所職に寄せ、国事を押妨する由、太政官から出す公文書に依って、法皇より命令下される所である。早く地頭に付する事の外、国府の租税などに於いては、非法の妨げを停止し、先例に任せその勤めを致すべきの状件の如し。以て下す。
     文治四年九月三日
(注釈)
宮内大輔の重頼・・・平賀義信に次ぎ、三河の守範頼より上位の重臣のようである。
記録所(きろくじょ)・・・荘園の審査・記録

|

« 8月20日 「吾妻鏡」「阿波麻殖保地頭の押妨を停む」 | トップページ | 12月6日 「吾妻鏡」「東大寺僧と武家の使闘乱す」 »