9月5日 「吾妻鏡」「賀茂別雷社領の地頭を停め、實平の狼藉を停む」
9月5日 「吾妻鏡」戊申
「諸国地頭に領家の所務缺怠を禁ず」
諸国庄公の地頭等、領主の支配業務を軽んずるの由、その聞こえ有るに依って、有限の地頭の地代の外は相互に組み合わせるべきではありません。年貢以下の怠り緩みはあるべきではありません。違反し越権の者どもに於いては、殊に処罰有るべきの由定めらたようです。
「賀茂別雷社領の地頭を停め、實平の狼藉を停む」
また賀茂別雷(わけいずち)社領の事、法皇の命令が到来するの間、地頭の支配を停止し、社家に支配させるの由命令されました。この外、同じく社領の備後の国有福庄、(土肥次郎)実平の狼藉を停止すべきの由のようです。
下す 近江の国安曇河御厨
早く定綱の知行を停止し、先例に任せ神役に勤仕せしむべき事
右件の御厨(みくりや)は、賀茂別雷社領である。而るに近日彼の(佐々木)定綱の無道の支配に依って、有限の神職の欠けて怠たりに及ぶの旨、社家の申状を以て、法皇より命令が下される所である。自今以後に於いては、早く定綱の支配を停止すべし。武士の妨げの外は、直に天皇への申し上げを経て、御裁定を頂くべきの状件の如し。以て下す。
文治二年九月五日
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