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2007年2月18日 (日)

5月13日 「吾妻鏡」「洛中群盗頻発の院宣到来す」

5月13日 「吾妻鏡」庚寅
「洛中群盗頻発の院宣到来す」
 紀伊刑部(裁判・行刑)の丞(次官の下)為頼が飛脚として京都より到着した。法皇の命令書を持参する所である。夜を以て日に継ぎ進上すべきの旨、師中納言(経房)触れ命令されたようです。北條時政殿が関東に帰られるの後、京中の狼藉は数える事も出来ないほどであります。去る月の二十九日夜、上下七箇所に群盗が乱入したようです。

世間ではごうごうの事、定めて以て聞き及びでございましょうか。ちまたの説、御信受有るべからずと雖も、此の如き世人の噂、先々空しからずか。時政の在京、かたがた穏便に思いなさるに依って、他の武士に於いては、縦え招集し下すと雖も、彼の男に於いては、京中の守護を勤仕すること宜しかるべきの由、度々仰せ遣わされるの上、直に仰せ含められました。然れども猶以て下向の間、此の如き事等出で来るか。義経・行家等が京都市内に在るの由風聞した。もし事実ならば、天罰すでに至るか。何ぞ探し出されないだろうか。或る説、比叡山の僧兵の中に同意の者どもが有るようです。なかなか此の如き報告、もし事実たらば、朝家の為神妙の事か。日来所々にご命令なさると雖も聞こえなされ出す事無し。今に於いては、捜し尋ねられることその便有るか。但し證拠も無き事を以て構え出さば、たまたま残る所の天台仏法摩滅の因縁か。彼と云い是と云い、ただただ歎き思いなされるものである。此の如き事出来ぬれば、君のおん為曲無き事のみ出で来ば、かたがた驚き思いなさるものであります。去る月二十日の御手紙(使の侍は為頼)は一昨日到来しました。その便に付けこの旨を仰せ遣わすと雖も、且つは怠慢の疑い有り。且つは不審を散ぜんが為、重ねて仰せられる所であるというものである。法皇の命令は此の如し。仍って執啓件の如し。
     五月六日           経房
   謹上 源二位殿

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