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2007年2月20日 (火)

6月21日 「吾妻鏡」「近畿の守護・地頭を停め、諸国武士の濫妨を禁ず」

6月21日 「吾妻鏡」丁卯
「近畿の守護・地頭を停め、諸国武士の濫妨を禁ず」
 行家・義経の隠れ居所を捜索する為、京都近国に於いて守護・地頭を任命された処、その者どもは事を兵粮米の徴収に寄せ、年貢の厳しい催促を連日にした。万民これが為に苦しみ悲しみを嘆き訴えることを含み、諸国この事に依って衰え疲れたようです。仍って義経の落着を待たるべきと雖も、人の嘆きは有るようだ。
 諸国守護の武士並びに地頭等、早く停止すべし。但し京都近国の平家から没収の跡に於いては除外すべきの由、二品(頼朝)は京都に申し上げた。師中納言を以て天皇に申し上げすべきの旨、御文書を廷尉の(大江)公朝が帰京のついでに送られた。また因幡の前司廣元が使節として上京する所である。
「武士の濫妨を停むべき国々」
 天下を清らかに治める為法皇の命令を下され、非道を問いただして非難し、また武士の乱暴を停止すべき国々の事
    山城国 大和国 和泉国 河内国 摂津国 伊賀国 伊勢国 尾張国 近江国
    美濃国 飛騨国 丹波国 丹後国 但馬国 因幡国 伯耆国 出雲国 岩見国
    播磨国 美作国 備前国 備後国 備中国 安藝国 周防国 長門国 紀伊国
    若狭国 越前国 加賀国 能登国 越中国 淡路国 伊豫国 讃岐国 阿波国
    土佐国
 右件の三十七箇の国々、法皇の命令を下され、武士の乱暴、方々の不都合な事を正し定め、非道を正理に直されるべきである。
「鎮西九国鎮定は経房の沙汰とす」
 但し九州九箇国は、師中納言殿の御指図である。然れば件の御進止の為、乱暴を鎮められ不都合な事を直さるべきである。
「伊勢の地頭を改補す」
 また伊勢の国に於いては、住人が非常に性質が悪く、人道にそむく心を挟み、すでに謀反を発揮しました。而るに件の余党、尚以て反逆心が不直にあるものである。仍ってその者どもを警戒する為、その替わりの地頭を任命せしめるものである。
 そもそも、また国々守護の武士、神社仏寺以下、諸人の領、頼朝の命令書を持たず、由緒無く自由に任せ押領するの由、尤も驚き思いなさる所である。今に於いては、法皇の命令を彼の国々に下され、武士の濫行・方々の不都合な事を停止され、天下を清らかに治めるべきである。凡そ伊勢の国に限らず、謀叛人が居住の国々、凶徒の所帯跡には、地頭を任命せしめる所である。然からば庄園は本家・領家の所役、国の役所は国役の雑事、先例に任せて勤仕せしむべきの由、命令せしめたる所である。各々この状をつくし、公事を先とし、その職を執行させたる事は、何事かこれに及ばないだろうか。もしその中、本家の事を用いず、国の役所の役を勤めず、偏に以て不当を致せしめある者どもをば、ご命令下されあるに随い、その誡めを加えるべきである処であります。なかんずくに武士等の中には、頼朝もいないので、知り及ばずの所を、或いは人の寄付と号し、或いは由緒無きの事を以て、押領せしむ所々、その数多くあるの由承りました。尤も法皇の命令を下され、先ず此の如きの不都合な事を直されるべきであります。また縦え謀反人の所帯として、地頭を任命される條、由緒有りと雖も、停止すべきの由御命令下されます所々に於いては、ご命令に随い停止すべきであります。法皇の命令にどうして違反すべきでしょうか。この趣を以て申し上げなさるべきの由、師中納言殿に申し上げるべきであります。
     文治二年六月二十一日     御判

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