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2007年1月25日 (木)

4月15日 「吾妻鏡」「東国侍の内任官の輩本国に下向することを停止」

4月15日 「吾妻鏡」戊辰
「頼朝、内挙なき御家人の任官を禁ず」
「東国侍の内任官の輩本国に下向することを停止」
 関東の御家人、推薦を受けず、功無くして多く以て皇宮警察や・役所等の官職を拝任した。各々殊に奇怪の由、御下文を彼の者どもの中に遣わされた。件の名字一紙に載せ、面々その不可を記述し加えらると。
   下す 東国侍の内任官の者ども中
    本国に下向することを停止せしめ、各々在京し軍務や公務に勤仕すべき事
     副え下す 連名書一通
 右任官の習い、或いは出勤日の労役を以て御給を賜い、或いは私物を以て朝家の御大事を償い、各々朝恩に浴す事である。而るに東国の者ども、徒に庄園の年貢を抑留し、国の役所の官物を掠め取り、公事を勤めて功を為すことなく自由に拝任した。官吏の職務の物事が次第に衰えてゆくことすでにこれに在り。偏に任官を停止せしめば、成功の便無きものか。前職現職を問わず、任官の輩に於いては、永く城外の思いを停め、在京し軍務に勤仕せしむべし。すでに朝廷の列臣に交わる。何ぞ謹慎などして家の中に閉じ籠もるべからず。もし違反して墨俣(岐阜県南西部)以東に下向するならば、且つは各々領地を取り上げ、且つはまた死罪に申し行わしむべきの状、件の如し。
     元暦二年四月十五日
「東士任官者の批評」
   東国住人任官の輩の事
 兵衛の尉(ひょうえのじょう)義廉 鎌倉殿は悪しき主である。木曽は吉き主であると申して、父を始め親しい人等を相つれそい、木曽殿に参上しよう、鎌倉殿にお仕えすれば、終には落人となり給うと処せられなどと申していたのに、何に忘却したのか。奇異の悪兵衛の尉である。
 兵衛の尉忠信 藤原秀衡の家来が、皇宮警察の職を拝任せしむ事、昔より未だ有らず。身の程を計り、お勤めするのがよいだろう。その気にてあるようだ。これはいたちに劣る。
 兵衛の尉重経 処罰は、ほぼ免除された。然れば領地に帰還せしむべきの処、今は領地に付け申されないだろう。
 渋谷馬の允(じょう)  父は在国である。而るに平家に従い経過せしむの間、木曽義仲が大勢を以て攻め入るの時、木曽に従いて駐留した。また判官義経殿御入京の時、また落ち降参した。度々の合戦に、心は一番にて有れば、前々の御処罰を免じ、召し仕わるべきの処、皇宮警察官として首を斬られるはいかがだろう。能く用意して鍛冶屋に相談して、首玉に厚く巻金をすべきである。
 小河馬の允  少々御処罰を免じて、御哀れみ有るべきの由思いなさるの処、顔色が良くない。何のための任官だろう。
 兵衛の尉基清 目は鼠(ねずみ)眼にて、ただお勤めすべきの処、任官は奇異である。
 馬の允有経  少々、やつは木曽殿御処罰有るの処、少々免ぜなされたならば、ただお勤めすべきに、五位の馬の允、未曾有の事である。
 刑部(ぎょうぶ)の丞友景 音声はしわがれて、後鬢の様子まで裁判官の様ではない。
 同男兵衛の尉景貞 合戦の時、心一番にて有る由聞こえ有り。仍って御愛おしみ有るべきの由お思いの処、任官は奇異である。
 兵衛の尉景高 悪い顔色して、本より切れ者でないと御見立てしに、任官は誠に見苦しい。
 馬の允時経  大ほらふきばかりを能力として、何とも言い表せない官好みして、甲斐庄と云うを知らない。あわれ粗略の人である。あばれ馬に細工して有れかし。
 兵衛の尉季綱 御処罰すこし免除して有るべき処、理由無き任官である。
 馬の允能忠  同じ。
 豊田兵衛の尉 色は白らかにして、顔は不覚気なるものの、ただお勤めすべきに、任官は奇異である。また下総に於いて、度々召集有るに参集せず、東国が平定されて後参集した。不覚ものめ。
 兵衛の尉政綱
 兵衛の尉忠綱 領地を少々返し給うべきの処、任官して、今は相叶うべきもない。ああ残念の人かな。
 馬の允有長
 右衛門の尉季重 久日源三郎 顔はふわふわとして、奇異の任官かな。
 左衛門の尉景季 
 縫殿(ぬいどの)の助   
 宮内の丞舒国 大井の渡りに於いて、声の様は誠に臆病気にて、任官見苦しき事である。
 刑部の丞経俊 官を好み、その必要な事無しである。あわれ無益の事である。
     この外の者ども、その数多く拝任せしむと雖も、文武官の間、何の官、何の職と明らかに知りなさるに及ばざるの故、委しく書状に載せられず。この外と雖も、永く城外の思いを停止せしむべきか。
 右衛門の尉友家
 兵衛の尉朝政
     件の両人、九州に下向するの時、京に於いて拝任せしむ事、のろい馬の道草を喰らうが如し。同じく以て下向すべきではないの状件の如し。
(注釈)
兵衛(ひょうえ)・・・兵衛府に属し、内裏の門の守衛など。
尉(じょう)・・・衛門府・兵衛府・検非違使などの次官(すけ)の下。
允(じょう)・・・寮のじょう、尉(じょう)と同等。
色様(いろさま)・・・美しい人の敬称。
刑部(ぎょうぶ)・・・裁判・行刑を担当する役所。
縫殿(ぬいどの)・・・縫殿寮で裁縫を担当する所。
助(すけ)・・・寮の次官。

(感想) これが本当に公文書か。

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