9月3日「源範頼藤原範季に養育さる」
9月3日 晴
「源範頼藤原範季に養育さる」
早朝、範季朝臣が来た。不思議の事を示した。参河の国司範頼(件の男幼稚の時、範季の子として養育した。仍って相親しいと)、上京の間、件の事聞かず知らずの由を答えた。頗る疑い残る事は有る。然れども事の跡ははっきりしている。猶信用しない事は出来ないか。
10月13日
「平氏淡路に着すという」
伝聞、教盛卿等の為、長門の国(山口県西部・北部)に駐在の源氏、葦敷(重隆)は追い落とされたようだ。また平氏五六百艘が淡路に到着したようだ。
10月14日
「窃盗等禁中(皇居)に乱入」
伝聞、さる比窃盗等が皇居に乱入し、朝食に従事する女房等の衣裳を悉く剥ぎ取りしたようだ。未曾有(みぞう)々々々。
(注釈)
未曾有(みぞう)・・・いまだ曾(かっ)て起こったことがないこと。
10月27日 「吾妻鏡」壬午
「景時郎従の廣田庄領押妨を停む」
淡路の国の廣田庄は、先日廣田社に寄附されたの処、梶原平三景時は平氏を追討する為、当時彼の国に在るの間、郎従等が彼の庄に乱入し、年貢を妨げるか。仍って仲資王が詳細を申された。更に改変の儀に非ず。且つは景時に命令すべきの由、今日御報を遣わさると。
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