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2006年12月20日 (水)

3月16日「信西入道後白河天皇暗愚なるも二つの徳ありと頼業に語る」

3月10日 晴
「重衡頼朝の請により東国に下向す」
 今日、重衡は東国に下向した。頼朝が申請する所であるようだ。

3月16日 晴
「信西入道後白河天皇暗愚なるも二つの徳ありと頼業に語る」
大外記頼業が来た。語りて云う、先年通憲法師(藤原通憲(みちのり))が語りて云う、当今(法皇を謂うなり)は和漢の間比類少なき愚かな君主である。謀反の臣がかたわらにあり。一切覚悟の御心無し。人これを悟らしめ申し上げると雖も、猶以て覚(さと)らず。かくの如きの愚昧(ぐまい)、古今未だ見ず未だ聞かざる者である。但しその徳は二つある。もし叡心果たし遂げんと欲する事あらば、敢えて人の制法に拘わらず、必ずこれを遂げる(この条は賢明な君主に於いて大失である。今暗愚の余り、これを以て徳となす)。次に自ら聞きなされし置く所の事、殊に御忘却無し。年月遷(うつ)ると雖も心底に忘れなさらず。この両事は徳となすと。
ある人云う、平氏は伐たれたようだ。或いは叉生け捕り、或いは叉土佐の国に引き籠もるようだ。近日かくの如き説が自由自在に飛び交う、一定を存じ難きか。
(注釈)
当今(とうぎん)・・・当代の天皇。今上天皇。
愚昧(ぐまい)・・・愚かで道理がわからないこと。
叡(えい)・・・天子の事柄に冠する尊敬語。

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