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2006年11月21日 (火)

1月22日「兼実院より尋ねらるる条々」

1月22日 天気晴れ、
「兼実院より尋ねらるる条々」
風病はいささか減有り。仍ってなまじいに参院した。定長を以て尋問される事は五箇條、
「平氏追討の事」
一、かれこれ言うこと無く平氏を討たるべきの処、三種の神器は彼の手に御座います。この條は如何。協議し申し上げすべしといえり。兼ねてまた公家の使者を追討使につきそえ下し派遣するは如何と。
 申して云く、もし三種の神器の安全の計略が有るならば、忽ちの追討は然るべからず。別の御使を遣わし、語り誘われるべきである。また頼朝の許へ、同じく御使を遣わし、この詳細を仰せ合わされるべきである。御使を追討使につきそえられるの條、甚だ拠る所無きか。
「義仲の首の事」
一、義仲が首を渡さるべきや否や如何。
申して云く、左右共に事の妨げを為すべからず。但し道理の出る所、尤も渡されるべきか。
「頼朝の賞の事」
一、頼朝の賞如何。
申して云く、申請に依るの由仰せられるべきか。然れば又もし恩賞無き由を存ずるか。暗に行われ、その由を仰せられる。何事か有らんや。その官位等の事に於いては、私の案の及ぶ所に非ずといえり。
「頼朝上洛の事」
一、頼朝上洛すべきや否やの事
申して云く、早く上京させるべし。殊に仰せ下さるべし。参否に於いてはごぞんぢであるべからず。早速に行かせて呼び出しすべきであるといえり。
「院御所の事」
一、御所の事如何。
申して云く、早々に他所にお移り有るべし。その所は、八條院御所の外、然るべきの家無きか。
「昨日の議定大略兼実申状に同じ」
定長語りて云う、昨日左大臣(経宗)、左大将(実定)、皇后宮大夫(実房)、堀川大納言(忠親)、押小路中納言(長方)、左右大弁等参入し議定あり。各の申し状は大概兼実の申し状に同じ。但し平氏追討の間の事、左大臣左大将猶三種の神器を知らず、追討すべきの趣か。これ即ち法皇のお考えはかくの如しと(他事、定能卿密にこれを示す)。各形勢に従われるなり。然るべからず然るべからず。叉首を渡される事、長方いわく、もし遠国の賊首を渡される事かと(この事然るべからず然るべからず)。叉賞の事、左大将云う、恵美大臣を討ちし時の例に任せ、三品に叙せられる、宜しかるべしと(この事叉過分である)。この外の事一同と。退出した後、人告げていう、摂政(基通)内大臣(実定)、各元の如くの由仰せ下されたようだ。天は国を棄てずと雖も、法皇はこれを棄てた。末世受生の恨み、宿業を訪ね報いんと欲するのみ。

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