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2006年9月21日 (木)

10月4日「頼朝3ケ条申し状」

10月3日 雨下る、
「蒜を服す」
今日に至り、蒜(ひる、草の名)を服用した。すべて25合である。ただ今の様子では、その効果は未だ見えない。
(注釈)
蒜(ひる、草の名)・・・ネギ・ニンニク・ノビルなどの総称。

10月4日 陰晴れ不定、
晩に及び太夫吏隆職が来た。内密に頼朝の進上する所の合戦の報告書、並びに折り紙等を持って来た。法皇のお使いの庁官の持参する所のようだ。件の折り紙は先日の聞く所に違いはない。しかしながら後代の為に之を記録して置く。
「頼朝3ケ条申し状」
「社寺に勧賞行われるべき事」「謀臣の輩出洛するは仏神の罰によるか」
1.勧賞を神社仏寺に行われるべき事、
 右日本国は神国である。しかるに近頃の年の間、主君に反逆する臣下の者ども、神社の領地を立てず、仏寺の領地を顧みず押領の間、遂にその罪に依り、7月25日忽ちに京都を出で、あちこちに散らばり失せた。王法を守護する仏神、目には見えない神仏の罰を加えられた所である。全く頼朝の微力の及ぶ所ではありません。然かれば報償を神社仏寺に行われるべきであります。近年仏にそなえる灯油の用途すらこれを欠き、先跡(せんせき)無しが如しであります。寺領を元の如く本所に付すべき由、早く宣下されますように。
「平家押領の王候卿相領を返付すべき事」
1.諸院宮・関白以下の領地、元の如く本所に返付せらるべき事、
 右王と諸侯公卿の御領を、平家一門が数所を押領した。しかる間領家は其の指図が出来なかった。堪忍する事が出来ない。早く聖日の明らかな天子のお言葉を降し、うれいの余気を払うべきでしょう。災をはらい福を招くはかりごと、何事も之に及ばないでしょう。頼朝なお彼の領地等を領有するならば、人の嘆きは平家に相同じであるだろう。宜しく道理に任せご指図有るべしといえます。
「落参の平家郎従の斬罪を宥すべき事」「頼朝勅勘を蒙ると雖も今朝敵を討つ」
1.奸謀者と雖も斬罪を寛宥せられるべし、
 右平家の郎従のうち降参する者ども、たとい不注意から起こる過失が有りと雖も身命を助けられるべし。その理由は、何となれば、頼朝が天子のとがめを蒙り事に座すと雖も、更にはかない命を全うし、今朝敵を討伐しました。後代に又このような事が無くはないのです。忽ち、死罪を行われるべきではありません。但し、罪の軽重に随い、ご指図有るべきです。
 以て前3ケ条の事、一心の所存この如し。早くこの趣を以て申し上げた事を計らい下さい。よって大概を記載し、申し上げることは件の如しであります。
 合戦記を詳細に記録するのに時間が無い。

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