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2006年8月18日 (金)

7月30日 「頼朝・義仲・行家への勧賞を如何に行わるべきか」

7月30日 天気晴れ、
「院にて大事議定す」
 朝早く、(大蔵卿、高階)奏経卿が書を、(和泉の守、源)季長朝臣の許に送りて曰く、今日院に於いて、重要案件を議定されます。10時頃、私も参加すべしということである。11時30分頃に冠直衣を着け、蓮華王院に参上した。これより先に左大臣(藤原経宗)、大納言(藤)実房、(藤)忠親、中納言(藤)長方等、御堂の南廊東面座(風吹くにより簾を垂れる)に在り。私も同じくかの座頭に加わる。弁兼光朝臣が法皇のお言葉を奉り来た。左大臣(藤原経宗)が法皇のお言葉を言う、条々の事、協議し申すべしということである(その事三箇条、左に載せる)。
「頼朝・義仲・行家への勧賞を如何に行わるべきか」
1.法皇のお言葉に言う、今度の義兵、考え企画は頼朝に在りと雖も、ただいまの成功の事は義仲・行家である。かつ賞を行おうとすれば、頼朝の不満は測り難い。彼の上京を待とうとすれば、また両人への賞の遅きを愁うだろう。両箇の間、法皇の考えは決し難い。兼ねてまた三人の勧賞等に差が有るべきか。その間の詳細を、協議し申すべしということである。
「頼朝参洛待たず三人同時に行わるべし」
 人々申して言う、頼朝が入京の期を待たるべからず。彼の賞を加へ、三人同時に行はるべし。頼朝の賞、もしふだんの心に背かば、申請に従い改易する、何の難があろうか。その等級においては、かつは勲功の優劣により、かつは本官(正式の官職)の高下に随い、協議し行なわれるべきだろう。総じてこれを論ずれば、第一は頼朝、第二は義仲、第三は行家である。
頼朝 (京官、任国、加級、左大臣は言う、京官は入京の時、任ずべし。私は言う、しかるべからず。    同時に任ずべし、中納言(藤)長方が賛同した)、
義仲    (任国、叙爵)
行家    (任国、叙爵、但し国の優劣を以てこれを任ず。上下差別すべしと。実房卿言う、義仲従上、行家従下が宜しいだろう)
(注釈)
勧賞(けんじょう)・・・功労を賞して官位を授け、または物を賜ること。
京官(きょうかん)・・・京都に勤務する官吏。
任国(にんごく)・・・国司として任命された国。
叙爵(じょしゃく)・・・初めて従五位下に叙せられること。

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