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2006年8月29日 (火)

8月12日「行家勧賞の懸隔に忿怨す」「天下の体三国史の如し」

8月11日 雨下る、
先日進上した所の大神宮の剣箱等が、今日参着の日である。よって神斎、祓を修し遙拝した(衣冠)。
「昨日の勧賞の聞書を見る」
去る夜の聞書を見た。義仲は従五位下(じゅごいのげ)、左馬頭(さまのかみ)、越後守(えちごのかみ)、行家は従五位下、備後守(びんごのかみ)のようだ。

8月12日 雨降る、
「行家勧賞の懸隔に忿怨す」
伝聞、行家はてあつい賞に非ずと称し怒り恨むようだ。且つ是は義仲へ与えた賞と程度のはなはだしきの故である。門を閉じ辞退したようだ。
「平時忠の返礼が到来す」
一昨日夜、時忠卿の許に遣わされた文書の、返書が到来した。其の条に云う、京中が落ちついた後、三種の神器以下の宝物等お帰り有るべき事、前内府(宗盛)に仰せ下さるべきかと。事の態は頗るあざけりさえずるの気あるに似たり。又貞能の答申書に云う、能(よき)様に計ひ沙汰すべしと。
「平家備前の国小島にあり」
現在は備前国の小島に在り。船は百隻余のようだ。或る説に云う、九州の諸国に国司を任命したようだ。
「天下の体三国史の如し」
大略、天下の体制は、三国史のようだ。西に平氏、東に頼朝、中国すでに三種の神器無し。政道は偏に横暴と弱腰とである。甚だ、其のたのみ無きに似たるか。征伐は遅引し、院中の公卿諸人は、欠国及び荘園等にのみ関心を持ち、法皇も又此の欲に執着した。上下の境を合わせ、歓喜の他無し。天下の供え物が亡くなることを知らず、国家の傾いて危うい事を顧みず、あかごの如く、鳥やけだものの如し。悲しむべし、悲しむべし。今夜、方違えの為大将(良通)の宅に向かう。

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